経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)について
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)について
特徴
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投与経路:鼻腔内にスプレーするタイプのワクチンです(注射不要!)。
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ワクチンの種類:生きてはいるものの弱毒化されている、「弱毒生ワクチン」です。(注)従来の注射タイプは不活化ワクチンです。
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効果は従来の注射タイプと同等です。
作用機序
- ウイルスは鼻や咽頭の粘膜で限局的に増殖し、自然感染に近い免疫応答を誘導。
- 血中抗体(IgG)に加えて、粘膜免疫(IgA)が誘導される点が注射型ワクチンとの違い。
接種対象者
2歳~18歳(19歳未満)
接種回数
年齢にかかわらず1回のみ
(他の生ワクチンと間隔をあけることは不要で、いつでも接種可能です。)
副反応
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約30~40%の人で接種後7日までに軽い風邪症状(鼻水、鼻づまりなど)がみられます。
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約10%の人に発熱がみられます。
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2~5歳の乳幼児では約10%で喘鳴(ぜんめい;ぜーぜーした呼吸)がみられます。
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ほかのワクチン同様、ごく稀に重篤な副反応(アナフィラキシーなど)がみられます。
当院で接種できない方
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接種可能年齢以外の方
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免疫不全(免疫が著しく低下している)の方、免疫不全患者さんと同居している方、接種後2週間以内に免疫不全患者さんに接触する予定の方
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発熱(37.5℃以上)している方
- 妊婦
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5歳未満で喘息や最近喘鳴を起こした方
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ゼラチン含有食品に対してアレルギーのある方
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川崎病罹患後などでアスピリンを内服中の方(ライ症候群のリスクがあるため)
点鼻タイプのメリット・デメリット
メリット
- 痛くない
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1回接種でいい
デメリット
- 費用が高い
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副反応の頻度が従来の注射タイプより高い
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水平伝播の可能性:フルミストの接種を受けたお子さんは鼻水の中にワクチンウイルスを最長で3~4週間排出する可能性があります。
Q&A
Q1. 接種後すぐにくしゃみをしてしまっても効果は問題ない?
A.製造元では接種後にくしゃみや鼻汁があっても再接種は不要と明記されています。これはワクチンが噴霧時に鼻腔の粘膜に広く接触するため、一部が外に出ても十分な量が粘膜に残存する可能性が高いからです。また生ワクチンであるため、少量でも粘膜で複製し、免疫応答を誘導できると言われています。
少しの鼻水が出ているお子さんに関して、当院では念のためしっかり鼻をかんでから接種をしてもらいます。そのため鼻かみができないお子さんへの接種はあまりおすすめしません。
Q2. 結局、注射タイプと点鼻タイプはどっちがいいの?
A.個人的な見解として、副反応や水平伝播の観点から注射がそれほど苦手でなければ注射をおすすめします。注射が苦手で安全に接種することが困難と予想されるお子さんは点鼻タイプをおすすめします。
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)をご希望の方へ
接種直後にくしゃみをするとワクチンが周囲に飛散することになるため、当院では隔離室で接種を行います。また接種はインフルエンザワクチン時間帯の最後にさせていただきますので、必ず事前に電話連絡をお願いいたします。
就学前のお子さんに接種する場合はご家族に頭部をおさえていただきます。おさえが甘く、噴霧が不完全となった場合は再接種となりますが、追加費用が発生しますのでご了承ください。
ご来院前にご確認ください
当院でワクチン接種を受けられる方は、事前に予診票の記入をお願いしております。
ご記入いただくことで、当日の受付がスムーズになり、待ち時間の短縮にもつながります。
👉 [ワクチン予診票をダウンロードする(PDF)]