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子供の嘔吐・下痢

子供が元気なのに嘔吐する・嘔吐を繰り返す

具合が悪そうな子供子供が急に吐き気と嘔吐を繰り返す場合、救急受診が必要になることがあります。多くの場合、これはウイルス性の急性腸炎、いわゆる「嘔吐下痢症」または「お腹の風邪」が原因です。この状態が続くと脱水症状のリスクがあり、水分補給は必須ですが、強い吐き気が見られる間は無理に飲ませず、顔色が落ち着いてから少しずつ与えましょう。

水分は塩分と糖分を含むものが適しており、経口補水液をお勧めします。固形食は吐き気が収まるまで控え、水分が摂取できるようになれば、救急受診の必要はありません。

ただし、水分を全く摂取できない、顔色が青白くぐったりしている、半日以上尿がでていない場合は、救急受診が必要です。意識障害やけいれんがある場合は、重症の脳疾患の可能性があり、救急車を呼ぶべき緊急事態となります。

子供の嘔吐の原因

嘔吐の原因は多岐にわたりますが、以下にその主なものを挙げます。

感染性胃腸炎

ウイルスや細菌の感染が原因で嘔吐が起こり、下痢や発熱を伴うこともあります。

食べ過ぎ、飲みすぎ

食べすぎたり飲みすぎたりした後に嘔吐することがあります。

食物アレルギー

特定の食品に反応して嘔吐することがあります。顔や目の腫れが伴うこともあります。

腸閉塞

腸の捻転や重積により、腸が閉塞し嘔吐が繰り返されます。

腸重積

腸の一部が他の腸管にはまりこんでしまう病気です。間欠的な腹痛、嘔吐、血便がみられます。

子供が嘔吐した際の対処法

経口補水液とゼリーのイメージ画像お子さんが嘔吐した時、心配になるのは当然です。嘔吐後は落ち着いてから水分を与えることが大切で、経口補水液が役立ちますが、一度に多くは与えず少量ずつ摂取させましょう。子供は嘔吐の原因を理解できず、不安や恐怖を感じることがありますので、嘔吐後は穏やかに声をかけ、安心させてあげてください。また、嘔吐以外の異常な症状がないか注意深く観察し、感染症の予防のためにご家族全員で手洗いをはじめとした接触感染対策を徹底しましょう。

子供が嘔吐した際、
病院を受診すべきか?

親御さんとして最も心配なのは、「病院に行くべきか、家で様子を見るべきか」という判断かと思います。通常、嘔吐が1~2回で止まり、お子さんが元気で明るい表情を取り戻していれば、家で様子を見ても問題ありません。

しかし、以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 嘔吐が長引いている
  • 腹痛や下痢があり、お腹が張っている
  • 頭痛がある
  • 息が荒い
  • 熱が出ている
  • 元気がなさそう、ぐったりしている
  • 吐しゃ物に血や緑色の液体が混ざっている

子供は脱水状態になりやすいため、尿が出ているかもチェックしていただきたいポイントです。繰り返し嘔吐すると、食物の残りがなくなり、胃液の黄色が目立つようになります。嘔吐物が赤色の場合は血液が混じっている可能性があり(消化性潰瘍の兆候)、緑色の場合は腸閉塞の恐れがあるため、緊急処置が必要です。重篤な状態になる前に、医療機関へ問い合わせしましょう。

元気なのに子供の下痢が続く

子供の下痢は珍しくない症状で、その多くは感染性胃腸炎によって起こります。その場合は通常、対症療法により約2週間で改善されます。ただし、下痢が頻繁であったり、量が多かったり、血が混じったりしている場合は、早めに医療機関を受診してください。

離乳食を始める前の赤ちゃんは通常、便が柔らかいもので、新生児ではほとんど水分のような便が普通です。日頃から便の回数や特徴をチェックし、変化があるかを観察しましょう。下痢以外に問題がなく、食事や水分摂取が正常で、元気がある場合は、ご自宅で様子を見ても問題ありません。

子供の下痢の原因

感染症

ウイルス、細菌、または寄生虫による感染が一般的な原因です。ロタウイルスやノロウイルスが代表的なものです。

 食事

新しい食品に対するアレルギー反応や不耐症(例えば、乳糖不耐症)が下痢を引き起こすことがあります。

食中毒

汚染された食べ物や水を摂取することで下痢を引き起こすことがあります。

抗生物質の影響

抗菌薬(抗生物質)は腸内の微生物叢のバランスを崩し、下痢を引き起こすことがあります。

ストレスや不安

精神的なストレスや不安が一時的な下痢を引き起こすこともあります。

子供の下痢の治し方

お子さんが下痢をしていても、機嫌が良く水分摂取が摂れていて、尿がきちんと排出されている場合は、ご自宅で経過観察しても問題ありません。しかし、下痢の頻度や量が増え、血液が混じる、または腹痛が強くなるなどの症状の変化が見られる場合は、医療機関を受診してください。

脱水を防ぐためには、こまめに水分を摂取することが重要で、特に嘔吐や多量の下痢がある場合は、経口補水液(OS-1®など)が推奨されます。急性胃腸炎による下痢の際の食事は、消化が良くお腹に優しいものを選び、脂肪分や糖分の多い食品は避けることが望ましいです。人工乳を飲んでいる場合は、希釈せずにそのまま与えても問題ありません。下痢が頻繁に起こるとおしりが赤くなることがあるため、おむつは頻繁に交換し、洗浄後は優しく拭き、赤みが出たら早めに保護薬を塗ることが大切です。感染性の下痢の可能性がある場合は、オムツ交換後には手洗いを徹底し、感染拡大を防ぎましょう。

子供の下痢・嘔吐の際に
気を付けること

子供は大人よりも水分を多く必要とし、水分調節機能も未熟なため、嘔吐や下痢が少しでもあると脱水症になりやすいです。脱水の兆候には、涙の減少、口の乾燥、尿量の減少などがあります。脱水を防ぐためには、経口補水液が有効とされており、嘔吐や下痢が始まったら早めに与えることが大切です。

重度の脱水症に進行すると、目のくぼみ、涙が出ない、手足の冷たさ、意識障害が起こり得るため、これらの症状が見られたら直ちに救急治療が必要です。また、便や嘔吐物には塩分も含まれており、下痢や嘔吐が続くと塩分不足にも注意が必要です。塩分不足は低ナトリウム血症を引き起こし、頭痛や意識のもうろうとした状態を招くことがあり、重症化すると命に関わることもあります。経口補水液は塩分補給にも有効なので、脱水対策として飲ませると良いでしょう。